くまのプーさんの20年後を描く映画『プーと大人になった僕』が公開されました。二週間連続観客動員数が一位と、ディズニー作品にふさわしい絶好調なスタートです。そんな話題作ですが、もう観たという方もこれからという方もいるでしょう。
映画版『プーと大人になった僕』は随所に原作の小ネタが挿入されており、原作を知っていればより楽しめる作りになっています。
そこで今回の記事では映画版をより楽しむための原作の知識を紹介して行きます。未見の方も、もう観たという方もこれを機会にさらに『プーさん』の世界を楽しめるようにしてしまいましょう。
映画版の主人公は誰?
原作やディズニーシリーズの「くまのプーさん」では、主人公は「プーさん」です。しかし今回の映画版、原題が「Christopher Robin(クリストファー・ロビン)」であることからもわかるように、今回はクリストファー・ロビンが主人公的な立ち位置にいます。
原作やディズニー版でのクリストファー・ロビンは頭のいい少年でお助け役といったところです。ドラえもんでいうならば出木杉くんのポジションですね。
100エーカーの森とは
ディズニー版でも原作でも明言はされませんが不思議な空間として描かれています。人間はクリストファー・ロビンしかおらず、大人は一切出て来ません。設定では100エーカーの森はイギリスのどこかにある「魔法の場所」と説明されています。
キャラクター紹介
では次にキャラクターたちを簡単に紹介していきます。原作での性格や立ち位置を知ることでより映画の世界に没入できるでしょう。
プー
おつむが弱いと言われるとぼけたクマのぬいぐるみ。ひたすらにマイペースであり、のんびり屋ですが、たまに金言を呟きます。趣味は詩作。
ピグレット
元は子豚のぬいぐるみ。とても臆病であり、怖がるとどもってしまうくせがあります。プーをとても慕っており、怯えると彼の後ろで縮こまってしまいます。
イーヨー
ロバのぬいぐるみ。とてもネガティブで常にローテンションです。川に流されてもそのまま身を任せてしまうなど運命に従順な一面があります。尻尾を無くしてしまいがちでいつも尻尾を探しているのも印象的です。
ティガー
トラのぬいぐるみ。見栄っ張りでホラ吹きですが、おしゃべりで快活な性格の持ち主です。楽しくなると尻尾でぴょんぴょんと跳ねるくせがあります。
ピーターラビット
喋るウサギ。彼はなぜかぬいぐるみではありません。人参の畑を耕すなど、100エーカーの森いちばんのしっかり者です。
オウル
喋るフクロウ。彼もなぜかぬいぐるみではありません。100エーカーの森一番の博識です。彼のツリーハウスは風で落下してしまう傾向にあります。
カンガ
カンガルーのぬいぐるみ。ルーの母親であり100エーカーの森唯一の女性キャラクターです。やんちゃなルーをよくたしなめています。
ルー
カンガの息子で同じくカンガルーのぬいぐるみ。やんちゃで遊び盛りな子供でティガーとよく悪ノリしています。ティガーの嘘を本気にしてしまう純粋さは子供ならではと言えます。
ウィンズロウ ヒイタチ ズオウ
翻訳によって様々な名称が存在します。その正体は空想のお化けです。実在しませんが、100エーカーの仲間たちは勝手に信じ恐れています。クリストファー・ロビンは迷信であることを知っていましたが、罠を仕掛けるなど退治する芝居をすることで100エーカーの仲間達を安心させたという逸話があります。
セリフ
次にプーさんの中でも特に重要なセリフを抜粋しておさらいして行きます。印象的なセリフが多いのも『クマのプーさん』という作品の特徴です。映画版でもそれを意識した作りになっていますので、しっかり確認しておきましょう。
「君は本当にオツムが小さいな」
プーさんのとぼけた行動に対してよく使われます。呆れた様子でプーさんにこの言葉をぶつけますが、プーさん本人はどこ吹く風です。作中ではプーさんの間抜けな様子を表す専用表現と言えます。
「何もしないをしているんだ」
何もしないをしているという表現がプーさんではよく使われます。「みんな不可能なことは何もないっていうけど、僕は毎日何もしないをやっているよ」という冗談みたいなセリフなど、「何もしない」ということはプーさんのキーワードであり、いわゆるプーさん哲学の肝です。ちなみに上記のセリフは英語の「nothing」をかけたダジャレのようなギャグです。
「今日が最高」
“今日はなんの日?” プーさんが訊いた。“今日は今日だよ” ピグレットは高い声でそう答えた。“そうか、ぼくの大好きな日だな” プーさんは言った。
今日が最良の日であるというポジティブなセリフです。プーさんは常に明るく、前向きです。マイペースを崩さず落ち込むことがありません。そんな様子を表した印象的なセリフと言えます。
シーンや小道具
次に、印象的なシーンや小道具を見て行きます。「プーさんといえばこれ」と言えるようなものを集めました。これを知っているだけで映画版での小ネタが数倍楽しくなること間違いなしです。
風船
原作にはプーさんが風船を貸してもらい、高い木のハチミツを取りに行くという物語があります。ディズニー版でも映像化されており、風船で空を飛ぶプーさんは印象に残っているという方も多いのではないでしょうか。ちなみにこのエピソードはクリストファー・ロビンとプーの最初の記念すべき最初のストーリーです。
穴につっかえるプーさん
ピーターラビットの家でパンを片っ端から平らげてしまったプーさんはお腹が膨れ、出口の穴にハマって動けなくなってしまいます。そしてクリストファー・ロビンや仲間達が救出のためにてんやわんやの大騒動を繰り広げるのです。一枚絵でよく見かけるプーさんが穴にはまってしまっている光景はこのエピソードのものです。
罠にはまるプー
空想のお化けであるズオウを退治するために落とし穴を掘り、ハチミツでおびき出そうとする話があります。しかし結局ハチミツの誘惑に勝てず、プーさん自身が穴に落ちてしまうでした。心配になったクリストファー・ロビンが穴に声をかけるのも印象的なシーンです。
鏡の前でダンスするプー
プーさんは寝間着のままよく鏡の前でダンスします。独り言をぶつくさとつぶやくのがお決まりの光景です。大抵朝ごはんに取っておいたハチミツはプーさんが我慢できず平らげてしまっています。「誰かが食べちゃった」というのもお決まりなおとぼけになっています。
原作版プーさんの最終章
以上、映画をさらに楽しく見るための予備知識を紹介して行きました。映画版では20年後、クリストファー・ロビンが大人になった時代が舞台です。そのため映画版の導入となる原作プーさんの最終章を紹介し、記事を終わろうと思います。
クリストファー・ロビンとのお別れ あらすじ
ある日、100エーカーの森の誰もがクリストファー・ロビンが去ってしまうことを予感します。言葉にはできないけれど何かが変わろうとしていたのです。そこで100エーカーの仲間たちは決議書をクリストファー・ロビンに渡すことにします。決議書は「左側通行に関するもの」みんなを集めるための口実です。こんなに回りくどい方法をとるのは、誰も面と向かって送別会を開くと言葉にはできなかったからでした。言い換えればこれはそれぞれの別れの言葉だったのです。
クリストファー・ロビンが仲間たちの前で決議書を朗読して行くと、彼らは1人、また1人と去って行きます。
別れの言葉を読み終えると、最後にプーさんだけが残されていました。2人は森を抜けて、歩いて行きます。そして「2人はずっと森の魔法の場所で遊んでいることでしょう」と締めくくられ物語は完結します。
気になる続きは映画館で!
以上が最終章の概要になります。映画版はこの20年後が舞台となります。原作ではクリストファー・ロビンがなぜ別れてしまうのか決定的な理由は明かされません。ただ
「僕が一番していたいのは何もしないでいることさ」
「もう何もしないをしていられなくなっちゃったんだ」
というセリフがあり、クリストファー・ロビンの幼年期が終わることが示唆されています。ここからどのように映画版が始まるのか気になるところです。果たして映画版ではどのようなアフターストーリーが語られるのでしょうか?未見のかたはぜひ映画館で確かめて観てください。
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